抱っこのチカラ
「抱き癖がつくから泣いてもしばらく放っておきなさい。」
この言葉、一度は耳になさったことがあるかと思います。現代のように生活が便利ではなく、家事や育児に追われていた時代に使われていた言葉です。
今の時代、抱っこは愛着形成(※1)で、とても大切な行為と位置付けられています。
赤ちゃんが泣くということは、赤ちゃんが唯一出来る自己主張です。自分が泣いたときに養育者がすぐに抱き上げてくれたり、声を掛けてくれることで、赤ちゃんは安心し、養育者を信頼するのです。
さて、最近子どもを育てていく中で、抱っこは赤ちゃんだけのものではないなと感じるようになりました。
お子様に悲しいことがあったとき、頑張ったとき、疲れたとき、嬉しいとき…その子の心も体も受け入れる方法として、抱っこのチカラが絶大だと思うのです。
抱っこができないくらい大きくなったお子様は、抱きしめてあげてください。
抱きしめられることに抵抗を示すくらい成長したお子様は、時々、体を寄せて隣に座ってあげてください。
お子様が、家庭という安全基地で自分をさらけ出すとき、しっかりと受け止めてあげてください。抱っこのチカラを利用してみてください。
私事ですが、母親よりも大きくなった思春期真っただ中の我が子を、ヨチヨチと抱っこすることはできませんが、体を寄せてくるときには、黙って受け入れるようにしています。
こちらから近寄ったときは、恥ずかしそうにしていても、嬉しい気持ちが溢れていることがわかります。
いくつになっても子どもは子どもなのだなと、こちらも嬉しくなります。
※1 愛着形成とは、赤ちゃんと養育者との間に生まれる心のつながり。