卒園を迎えるママへ ― 保育士が子どもたちを送り出すときの、ほんとうの気持ち ―

今、胸の奥がぎゅっとして、
不安とさみしさでいっぱいかもしれません。

 

でも、それはママだけではないのかもしれません。

 

昔、年長の担任をしていたことのある私が、
今日はそっとお手紙をつづります。
ぜひ、担任の先生の顔を思い浮かべながら、読んでみてくださいね。

 

 

保育士は、いつも笑顔で元気いっぱい。
でも、卒園が近づくこの季節、心の中は実はさみしさでいっぱいです。

とくに、0歳児クラスから関わってきた子どもたち。
初めて出会ったあの日は、まだ赤ちゃんだったのに、
今では立派なお兄さん、お姉さん。

朝、ママと離れるたびにギャン泣きで、
抱っこして、おんぶして、やっと眠りについた毎日。
「大丈夫だよ」と何度も声をかけながら、
胸のぬくもりを感じて過ごした時間。

少しずつ、
「この人は安心できる人」
そう認識してくれるようになって、
飛びきりの笑顔を見せてくれたときの嬉しさ。

びっくりしたとき、悲しいとき、
まっすぐ自分のところに来てくれる姿が、
たまらなく愛おしかった。

離乳食、トイレトレーニング、お着替え、ことば。
できることがひとつずつ増えていく姿は、
毎日がまぶしくて、楽しくて、幸せでした。

お友だちと仲良く遊ぶ姿にほっこりしたり、
うまくいかなくて泣いてしまったり、喧嘩をしてしまったり。
そのたびに一緒に悩み、向き合う時間さえ、
宝物のような日々でした。

年長になると、
できることだけじゃなく、心がぐんと大きくなる。
友だちを思いやる姿、自分の気持ちを言葉にしようとする姿。
「もう一年生なんだな」と、
誇らしさと、ほっとした気持ち、そしてやっぱりさみしさ。

4月の頃は、
「年長の担任が務まるかな」と、正直ドキドキしていました。
それでも、赤ちゃんの頃に担任したこの子たちを、
もう一度担任して、最後まで送り出したい。
そんな思いで、園長先生に思い切ってお願いしたことも。

運動会、発表会。
どうしたら一人ひとりが輝けるか、たくさん考えて、学びました。
夜、ヘッドホンをつけて、
みんなの歌声に負けないようにピアノを練習した日々。

遠足も楽しかったね。
外で食べた給食、最高だったね。
工作では、子どもたちの自由なアイデアに、
何度も驚かされました。

卒園式。
きっと泣いてしまうけれど、
最後は笑顔で送り出します。

 

今、年長さんの担任をしている先生たちも、
きっと同じような気持ちでこの日を迎えているはずです。

ママへ。

あなたが感じているさみしさは、
それだけ深く、丁寧に、愛してきた証です。

そしてその愛は、
ちゃんとお子さんの心に根を張っています。

大丈夫。
子どもは、たくさんの「大丈夫」を胸いっぱいにもらって、
一歩ずつ前へ進んでいきます。

不安になったときは、
園で過ごした日々を思い出してください。
たくさんの大人に見守られ、
笑って、泣いて、育ってきたことを。

卒園は、終わりではなく、
「ここまで一緒に育ってきたね」という、あたたかな区切り。

どうか胸を張って、笑顔で。
新しい一歩を踏み出す我が子と、
そして頑張ってきた自分自身を、たくさん抱きしめてあげてくださいね。