小さな怪獣
我が家の二女の幼い頃の話です。
二女は、好奇心旺盛、我が道を行く、したいと思ったことは行動に移さないと気が済まないという性格で、おまけに周囲のお子さんと比べて相当な頑固者で、言い出したら思いが通るまで地団駄を踏んで泣く子でした。なので、自我の目覚める2歳になった頃には、家の中でも毎日の様に事件が起きました。
2歳のある時は、朝から勝手に裸になり、タオルを片手に浴室で蛇口をひねってお湯を貯めようとしていました。「何をしてるの?」と聞くと「お風呂に入るんよ」と当たり前でしょという顔で答えます。一人で水を出すのは危ないと告げ、蛇口を閉めるとひっくり返って手足をバタバタさせて大泣き!です。
止められても諦めずに何度も蛇口を開けようとする姿や、止められる度にひっくり返ってバタバタと暴れる姿が面白くて私はビデオを回し始めました。
またある時は、引っ張り出す行為が楽しかったのでしょうか、着替えの入っている引き出しから衣類を全部引っ張り出し、部屋中を衣類だらけにしていた事もありました。“やり遂げたぜ!”感のどや顔で仁王立ちしている二女にある意味感心し、大変な惨状になった部屋全体と二女のどや顔をビデオに収めました。
娘達がとんでもないいたずらをするたびに余計な仕事は増えましたが、この子達が成長したら、“こんな事をして困らせていたよ”と嫌味のひとつでも言おうと、家事の手を止めてビデオを回すことを楽しみました。娘達も、ビデオを向けられると、そちらに気が向くのか、泣き止んでビデオカメラを覗き込んだりしていました。
今思うと、ビデオの準備をしてひと呼吸置くことができたので、イラッ!としても感情的な怒り方をせずに済んだのかなと子育て時代を振り返ります。
子育て中、イラッ!としたらひと呼吸置く。これは暴れん坊の小さな怪獣と上手に付き合っていく方法のひとつでもあります。皆さんもひと呼吸置ける何かを見つけてみて下さい。
成長した娘達に嫌味を言うために撮り始めたビデオですが、今では思い出話に花を咲かせながら家族で大笑いしながら観ています。成長記録のビデオの中に、いたずら、大泣きバージョンもお勧めですよ。